Excel2016以降とMicrosoft365のExcelには、[校閲]タブに[ブックの統計情報]というコマンドがあります。
シートやブックのセル、数式、グラフ、テーブルなどの数を確認できます。
ステータスバーからも表示できますし、ショートカットキーで起動することもできます。
この機能が便利なのは、非表示にしているシートの情報も取得されることです。シート数が多いブックの情報取得にも役立ちます。
[ブックの統計情報]の表示
[校閲]タブの[文章校正]グループには、[ブックの統計情報]というコマンドがあります。
ブックの統計情報
セル、数式、グラフ、テーブル...これらが自動的に数えられるので、ユーザーが数える必要はありません。
[ブックの統計情報]をクリックすると、以下のようなウィンドウが表示されます。
現在のシートとブック全体についての情報が表示されます。
統計情報に表示される内容は、シートやブックの内容によって異なります。
ステータスバーに表示
[ブックの統計情報]をステータスバーに表示しておくと、クリックするだけで[ブックの統計情報]を表示できます。
ステータスバーで右クリックして、[ステータスバーのユーザー設定]から[ブックの統計情報]をクリックします。
既定ではオフになっていると思います。
参考[ステータスバーのユーザー設定]の項目は以前より増えています。時々チェックしてみると面白いかもしれません。
フラッシュフィルや、アクセシビリティチェックについては以下の記事で解説しています。
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ショートカットキーで表示
[ブックの統計情報]は、ショートカットキー[Ctrl]+[Shift]+[G]で表示することもできます。
カウントされる統計情報
以下は、ブックの統計情報を確認する - Microsoft サポート(Microsoft)に記載されているものです。
現在のシートやブックの中に対象となるものがない場合は表示されません。
ワークシート レベル
- シートの末尾/最後のセル
- データを含むセルの数
- テーブルの数
- ピボットテーブルの数
- 数式の数
- グラフの数
- イメージの数
- フォーム コントロールの数
- オブジェクトの数
- コメントの数
- メモの数
ブック レベル
- シート数
- データを含むセルの数
- テーブルの数
- ピボットテーブルの数
- 数式の数
- グラフの数
- 外部接続の数
- マクロの数
ただし、新規シートで[ブックの統計情報]を表示してみると分かるのですが、以下の3つは対象が無い場合でも[0]と表示されます。
- データを含むセル
- テーブル
- 数式
いくつかの内容について解説します。
参考シートの一覧を表示するには、シート見出しの左端で右クリックすると、[シートの選択]ウィンドウが表示されます。
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[Ctrl]キーと左クリックで先頭や最後のシートにスクロール
Excel2013では、シート見出しの左端に(三角マーク)が表示され、その(三角マーク)をポイントすると、メニューが現れます。 メニューを見 ...
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シート一覧を表示してアクティブシートを切り替える
Excelの[見出しスクロール]ボタン上で右クリックすると、シートの一覧が表示されます。 目的のシート名をクリックすると、そのシートがアクテ ...
シートの末尾の確認
[ブックの統計情報]の[現在のシート]には、[シートの末尾]というのがあります。
以下のシートでは、シートの末尾は[E10]となっています。
見た目では最後のセルは[E6]なのですが、[ブックの統計情報]では[E10]と表示されています。
セル[E10]をアクティブにしてみると、空白スペースが入力されています。Excelでは、空白スペースは本当に厄介です。
このセルのスペースを削除して、再度、[ブックの統計情報]を表示すると、以下のようになります。
データを含むセルの数も1個減っています。
参考シートの[最後のセル]のチェックは、印刷時に白紙が出力されたり、ブックを開くのに時間がかかるなどという場合によく確認します。
[最後のセル]とは、最後の行と最後の列が交差するセルのことです。
これまでは、[ホーム]タブの[編集]グループにある[検索と選択]から[条件を選択してジャンプ]をクリックして、
[選択オプション]から[最後のセル]を選択していました。
この違いは、[最後のセル]で指摘されたセルを修正しても、ブックを上書きしなければ、修正できたかのチェックはできませんでした。
[ブックの統計情報]では、上書き保存しなくても修正の確認ができます。
[ブックの統計情報]は、Excel2016以降の機能ですが、Excel2013以前のバージョンでも[選択オプション]の[最後のセル]は使用できます。
ショートカットキーは、[Ctrl]+[End]です。以下のキーボードのように方向キーと一緒に印字されているようなキーボードでは[Fn]キーと一緒に使用する場合があります。
[最後のセル]と[シートの末尾]は、一致しない場合もあります。
空白セルを貼り付けた場合などは、[最後のセル」は変わりますが[シートの末尾]のセルは変わりません。
テーブルのチェック
テーブルのチェックも便利です。
ブック内にテーブルがあると、[表示]タブの[ユーザー設定のビュー]は使用不可になります。
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[ユーザー設定のビュー]を使おうと思っても、無効になっていてブック内にテーブルが存在するかどうかを調べるときに役立ちます。
これまでは、[数式]タブの[名前の管理]を表示してテーブルがあるかどうかを確認していました。
ただ、[名前の管理]ダイアログボックスには、シートが非表示になっている場合はテーブルの内容は表示されません。
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テーブルがないのに、[ユーザー設定のビュー]が使用不可になっているのでおかしいなと思っていたら、テーブルが設定されたシートが非表示になっていたということがあります。
[ブックの統計情報]では、非表示シートの情報も取得されます。
なので、シートが非表示になっている場合も気が付きやすいです。
以下は、テーブルがあるシート[Sheet3][Sheet4][Sheet5]を非表示にしたときの[ブックの統計情報]です。
ブックの情報に[シート]の数も表示されるので、非表示シートがあることも明確です。
参考シートの再表示は、シート見出しで右クリックして[再表示]をクリックします。
もし、[再表示]が無効になっている場合は、[ブックの保護]が有効になっていると思います。
ブックの保護の設定がされていても、[ブックの統計情報]にはシートの情報は表示されます。
[校閲]タブの[保護]グループにある[ブックの保護]をクリックして、ブックの保護を解除すると、コマンドは有効になります。
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外部接続の有無
PowerQueryなどで外部接続した場合も[ブックの統計情報]の[外部接続]にカウントされます。
[データ]タブの[データの取得と変換]グループにある[既存の接続]をクリックすると、確認できます。
また、[クエリと接続]をクリックすると作業ウィンドウに[クエリと接続]情報が表示され、編集や削除などを行うことができます。
参考PowerQueryについては、以下の記事などで解説しています。
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Power Queryを使って、同一ブック内の複数シートを結合する方法を紹介します。 同じレイアウトの表の場合は、簡単に結合できます。 結合 ...
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オブジェクトと画像
テーブルやピボットテーブルのスライサーは、オブジェクトとしてカウントされます。
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テーブルでもスライサーの挿入ができる(フィルター処理を視覚的に)
Excel2013では、テーブルでも[スライサー]が使用できるようになりました。 以下のようなスライサーを使った絞り込みを行うことができます ...
図形もオブジェクトになります。
写真やアイコンなどのを挿入すると、[画像]としてカウントされます。以下はアイコンを挿入しています。
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[アイコン]の挿入(カスタマイズや図形に変換して分解もできる)
Office2019には[挿入]タブの[図]グループに[アイコン]があります。以下は、Word2019の[挿入]タブですが、ExcelやPo ...
[コメント]と[メモ]の違いについて
[メモ]とは、Microsoft 365のExcelに追加された機能です。他のユーザーとディスカッションができるようになっています。
Excel2019でセルにコメントを挿入すると、[ブックの統計情報]では[メモ]としてカウントされます。
以下の画像はExcel2019です。
Excel2019、Excel2016では、コメントはあってもメモ機能はありません。
バージョン2201(ビルド 14827.20198)での情報です。
以下は、Excel2019の[校閲]タブです。[メモ]グループはありません。
セルのショートカットメニューも以下のように[コメントの挿入]しかありません。
Microsoft 365のExcelには、メモ機能があります。
以下は、365の[校閲]タブです。[コメント]グループと[メモ]グループがあり、[新しいコメント]をクリックすると、以下のようになります。
ショートカットメニューにも[新しいコメント]と [新しいメモ]があります。
[新しいメモ]をクリックすると、従来のコメントが表示されます。
365のシートにメモとコメントがあれば、[ブックの統計情報]には[メモ]と[コメント]がそれぞれカウントされます。
以下のMicrosoftの記事が参考になると思います。
スレッド形式のコメントとメモの違い - Microsoft サポート(Microsoft)
上記ページには、以下のように記されています。
コメントはスレッド化され、他のユーザーとデータについてディスカッションすることができるようになりました。 メモはデータに関するメモや注釈を付けるためのもので、以前のバージョンの Excel のコメントのように機能します。
参考[ブックの統計情報]は、ブックの起動が遅い時など、その原因を探るのにも役立ちます。それ以外にも[ドキュメント検査]を実行すると、隠された情報をチェックできます。
Office2010とOfffice2013で解説しています。
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それでも、解決できないような場合は、以下の記事を参考にしてください。
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