複数のマトリックス表(クロス表)をピボットテーブルウィザードで統合する方法です。[データの統合]という機能を使って、合計を求めたりすることもできますが、ここではピボットテーブルを作成します。
ピボットテーブルを作成しておくと、さまざまな切り口で集計と分析ができます。
[データの統合]については、以下の記事で解説しています。
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データの統合(表の項目名の数と並び順が一致している場合)
Excelには複数の表を統合してくれるデータの統合という機能があります。 各店舗や各支店の異なるブックのデータをまとめたり、複数のワークシー ...
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データの統合(表の項目数と並び順が異なる場合)
Excelのデータ統合という機能を使うと、複数シートの項目名の数や並び順が違っていても1つのワークシートにまとめることができます。 統合には ...
Excel2003では、ピボットテーブルウィザードに[複数のワークシート範囲]という項目があり、選択できるようになっていたのですが、Excel2007以降は消えてしまいました。
ですが、使用できなくなったわけではありません。クイックアクセスツールバーにコマンドボタンを追加するか、アクセスキーを使ってウィザードを呼び出すことができます。
ここではExcel2019で解説しますが、他のバージョンでも同じ操作です。
この記事の目次
サンプル表の確認
サンプルデータは下のようになっています。下の3つのシートの項目数と並び順が異なることを確認してください。
シート名[2011年度]のシートです。
シート名[2012年度]のシートです。商品名に「果汁100% ピーチ」と「果汁100% レモン」が追加されています。
シート名[2013年度]のシートです。「博多店」が追加されていて、並びも違います。
上記の3つのワークシートを基にピボットテーブルウィザードを使用して統合します。
クイックアクセスツールバーに[ピボットテーブル/ピボットグラフウィザード]を追加
クイックアクセスツールバーに[ピボットテーブル/ピボットグラフウィザード]のコマンドボタンを事前に登録します。
[クイックアクセスツールバーのユーザー設定]をクリックして、[その他のコマンド]をクリックします。
以下のように[Excelのオプション]ダイアログボックスの[クイックアクセスツールバー]が表示されます。
[コマンドの選択]は[リボンにないコマンド]を選択します。
スクロールバーを下へ移動させると、[ピボットテーブル/ピボットグラフウィザード]が見つかると思います。
ボタンを選択して中央にある[追加]ボタンをクリックします。
右側に[ピボットテーブル/ピボットグラフウィザード]が表示されたことを確認して、[OK]ボタンをクリックします。
クイックアクセスツールバーに登録するボタンは、[すべてのドキュメントに適用]するか[開いているブックのみ]に追加するかを選択することができます。
ここでは、既定のまま[すべてのドキュメントに適用]を選択します。
クイックアクセスツールバーは、以下のようになります。ポイントすると、[ピボットテーブル/ピボットグラフウィザード]と表示されます。
参考クイックアクセスツールバーからコマンドボタンを削除する場合は、削除したいボタンで右クリックしてショートカットメニューから[クイックアクセスツールバーから削除]をクリックします。
クイックアクセスツールバーのカスタマイズについては、以下の記事で解説しています。
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クイックアクセスツールバーの表示/非表示設定と位置の変更
Office2021とMicrosoft 365のOfficeでは、クイックアクセスツールバーの非表示設定ができるようになっています。 また ...
アクセスキーで[ピボットテーブル/ピボットグラフウィザード]を起動
クイックアクセスツールバーに[ピボットテーブル/ピボットグラフウィザード]を登録しない場合は、キーボードから以下の順で操作してください。
同時に押すのではなく、[Alt]→[D]→[P]と順番に押します。
ピボットテーブルウィザードでピボットテーブルを作成
クイックアクセスツールバーの[ピボットテーブル/ピボットグラフウィザード]ボタンをクリックするか、アクセスキーを使って、ウィザードを起動します。
ピボットテーブル/ピボットグラフウィザード-1/3
以下の[ピボットテーブル/ピボットグラフウィザード-1/3]が表示されます。
[複数のワークシート範囲]を選択します。
作成するレポートの種類は、既定で[ピボットテーブル]になっていると思いますが、念のため確認してください。
[次へ]のボタンをクリックします。
ピボットテーブル/ピボットグラフウィザード-2a/3
ページフィールドの作成方法は、[指定]を選択します。
[次へ]のボタンをクリックします。
参考ここで[自動]を選択すると、アイテムの名前を付けられません。できれば、[指定]を選択して、次の画面でアイテムの名前を付けたほうがピボットテーブルの操作が分かりやすくなります。
ピボットテーブル/ピボットグラフウィザード-2b/3
[結合するワークシートの範囲をしてください。]の[範囲]の[ダイアログボックス拡大/縮小]ボタンをクリックします。
[2011年度]のワークシートの合計の行と列のセルを外して、選択します。項目と見出しは含めて選択します。
[追加]ボタンをクリックして、[ページフィールド数を指定してください。]で[1]を選択します。
フィールド1にシート名[2011年度]と入力します。
同様に[追加]ボタンをクリックして、[2012年度]と[2013年度]の範囲も追加します。
[次へ]のボタンをクリックします。
ピボットテーブル/ピボットグラフウィザード-3/3
ピボットテーブルレポートの作成先を指定します。
ここでは、[新規ワークシート]を選択します。[完了]ボタンをクリックします。
新規ワークシートにピボットテーブルが作成されます。
参考以下は、Microsoftの解説ページです。
複数のワークシートを 1 つのピボットテーブルに統合する - Microsoft サポート(Microsoft)
ピボットテーブルの操作
行ラベルエリアや列ラベルエリア、レポートフィルターエリアのフィルターボタンをクリックして、ここで集計の絞込を行うことができます。
例えば、列ラベルエリアのフィルターボタンをクリックして、[浅草店」と[博多店]のチェックボックスをオフにして[OK]ボタンをクリックします。
結果、以下のように[広島店]と[札幌店]のみのデータに絞りこまれます。
また、レポートフィルタ―エリアのフィルターボタンをクリックすると、以下のように年度(シート名)が表示されます。
[複数のアイテムを選択]のチェックボックスをオンにすると、複数選択ができるようになります。
スライサーの活用
スライサーを使用すると、フィルターを視覚的に素早く簡単に表現することができます。
[スライサーの挿入]ダイアログボックスが表示されますので、表示したい項目のチェックボックスをオンにして[OK]ボタンをクリックします。
ここでは、[行]と[列]のチェックボックスをオンにして、[OK]ボタンをクリックします。
[行]と[列]のスライサーが表示されます。
以下のように項目を選択して絞込ができます。
スライサーの使い方については、以下の記事で解説しています。
Excel2013以降は、テーブルでもスライサーが使用できるようになっています。
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テーブルでもスライサーの挿入ができる(フィルター処理を視覚的に)
Excel2013では、テーブルでも[スライサー]が使用できるようになりました。 以下のようなスライサーを使った絞り込みを行うことができます ...
Excel2016以降は、スライサーに複数選択ボタンが追加されています。
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テーブルのスライサーに[複数選択]のボタンが追加
テーブルやピボットテーブルでは、スライサーを使用してデータのフィルターを視覚的に実行することができます。 Excel2010のピボットテーブ ...
詳細の表示
ピボットテーブルでは、各セルをダブルクリックすると、その詳細が別シートに表示されます。
または、右クリックしてショートカットメニューから[詳細の表示]をクリックします。
新規ワークシートに値の詳細が表示されます。この機能のことをドリルスルーと呼びます。
詳細が表示されない場合
ダブルクリック、または、[詳細の表示]をクリックした時に以下のメッセージウィンドウが表示されることがあります。
ピボットテーブルで現在選択されている部分は変更できません。
その場合は、[ピボットテーブルオプション]の設定を確認してみてください。
[ピボットテーブル分析]タブの[ピボットテーブル]から[オプション]をクリックします。
または、ピボットテーブル内で右クリックして、ショートカットメニューから[ピボットテーブルオプション]をクリックします。
[ピボットテーブルのオプション]ダイアログボックスの[データ]タブにある[詳細を表示可能にする]のチェックボックスがオフになっているかもしれません。
チェックボックスをオンにすると、詳細データが表示できるようになります。
参考以下の記事でも解説しています。
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ピボットテーブルの詳細の表示(ドリルスルー)ができない場合の確認
ピボットテーブルでは、ダブルクリックでデータの詳細を表示することができます。 この機能のことを[ドリルスルー]と呼びます。 ピボットテーブル ...
すべてのデータを新規ワークシートに表示するには
同じように、右下のセルをダブルクリックすると、すべてのデータが新規ワークシートにテーブルとして表示されます。
3つのワークシートに分かれていたマトリックス(クロス集計)が1つのテーブルとして表示されるということです。
参考上記の画像で使用している省略波線は、Excelの図形で作成しています。
テーブルを解除して、通常の範囲に変換する方法については、以下の記事で解説しています。
データの更新
もし、元となる表で値が変更された場合は、[更新]ボタンを押すだけで、ピボットテーブルの値も更新されます。
[ピボットテーブル分析]タブの[データ]グループにある[更新」から[更新]をクリックします。
参考[すべて更新]をクリックすると、ブック内のすべてのピボットテーブルが更新されます。特定のデータのみ更新したい場合は、[更新]をクリックしてください。
ポップヒントで分かりますが、ショートカットキーは以下のとおりです。
- すべて更新[Ctrl]+[Alt]+[F5]
- 更新[Alt]+[F5]
参考ピボットテーブルについては、以下の記事で解説しています。
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