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掛け算九九表の簡単作成(複合参照と配列数式とスピル)

投稿日:2024年4月29日 更新日:

Excelの参照形式を理解しておくと、集計表などを作成するときに労力をかけずに作成できるようになります。

参照形式には、絶対参照、相対参照、複合参照(行のみ固定、列のみ固定)があります。

掛け算の九九表を作成しながら、複合参照の練習をしてみてください。

また、複合参照を使用せずに、もっと簡単に作成する方法もあります。

完成した九九表

掛け算九九表の準備

掛け算九九表を作成する準備をします。

列幅も行の高さも同じ碁盤目の表を作成します。

セル[B3]から下へ1から9まで入力し、セル[C2]から右へ1から9まで入力します。

オートフィルを使用すると簡単ですね。

オートフィル

また、[表示]タブから[ページレイアウト]表示にすると列幅も行の高さもセンチメートルで指定できるので、列幅と行の高さの調整は簡単になると思います。

設定したい行や列を範囲選択してまとめて指定します。

[表示]タブの[ページレイアウト]

参考[表示]タブの[ページレイアウト]については、以下の記事で解説しています。

列幅と行の高さをセンチやミリ単位で調整するにはページレイアウトで

Excelには、[標準]、[改ページプレビュー]、[レイアウト]の3つの表示モードがあります。この表示モードを切り替えることで、作業を効率よ ...

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碁盤目の九九表

以下のような碁盤目の九九表の準備ができました。

行と列に1から9までの見出しを付けた表です。

この表のセル[C3]のみに数式を入力して、それを横と縦にドラッグして数式をコピーして完成させます。

行列に1から9までの見出しを付けた表

[F4]キーと参照形式

キーボードの[F4]キーを使って参照形式のパターンを変更できます。

キーボード[F4]キー

[F4]キーを押す度に以下の流れで切り替わります。

[F4]キーを1回も押していない状態は相対参照の状態になります。

[F4]キーを押す時の数式バーのカーソル位置は、[=]の左側以外であればOKです。

[F4]キーを押す度に切り替わるセル参照

[$]は、後ろに位置する行や列を固定します。

F4キーを押す回数 セル表記 参照方法
1回 =$A$1 絶対参照(列も行も固定)
2回 =A$1 複合参照 行のみ絶対参照(行のみ固定)
3回 =$A1 複合参照 列のみ絶対参照(列のみ固定)
4回 =A1 相対参照(列も行も固定しない)

絶対参照

セル[C3]に[=B3]と入力して、[F4]キーを1回押します。

数式を入力する時は、IMEの入力モードは[半角英数]モードにします。

行と列が固定されます。

セル[C3]の行と列を固定した絶対参照

このまま、横や縦にセル[C3]をコピーしても、セルには[=$B$3]となります。

セルの参照先は変わりません。行も列も固定している状態です。

絶対参照のセル[C3]を右へドラッグして数式をコピーしたセル[E3]の数式

複合参照(行のみ固定)

セル[C3]に[=B3]と入力して、[F4]キーを2回押します。

行が固定されます。ここでは3行目に固定されるということになります。

[F4]キーを2回押して行固定の複合参照

セル[C3]をセル[E3]までドラッグして、数式をコピーしてみます。

セル[E3]の数式は、[=D$3]となります。

列番号は動きますが、行は固定されています。

左右方向に移動すると、列番号の参照先が変わります。

行固定の複合参照セル[C3]をコピーしたセル[E3]の数式

セル[C3]をセル[C5]までコピーしてみます。

セル[C5]の数式は、[=B$3]となります。

列は固定されていませんが同じ列番号なのでそのままで、行は3行目に固定されています。

上下方向に移動しても参照先は変わりません。

行固定の複合参照セル[C3]をセル[C5]までドラッグしてコピーした時の数式

複合参照(列のみ固定)

セル[C3]に[=B3]と入力して、[F4]キーを3回押します。

列が固定されます。ここではB列に固定されるということになります。

列を固定した複合参照セル[C3]

セル[C3]をセル[E3]までコピーしてみます。

セル[E3]の数式は、[=$B3]となります。

行は固定されていませんが同じ行番号なのでそのままで、列はB列に固定されています。

左右方向に移動しても参照先は変わりません。

列固定の複合参照セル[C3]をドラッグしてセル[E3]までコピーした時の数式

セル[C3]をセル[C5]までコピーしてみます。

セル[C5]の数式は、[=$B5]となります。

上下方向に移動すると、行番号の参照先が変わります。

列固定の複合参照セル[C3]をセル[C5]までコピーしたときのセル[C5]の数式

相対参照

[F4]キーを1回も押していない場合は、相対参照の状態です。

[F4]キーを4回押すと、1回も押していない状態と同じになります。

相対参照のセル[C3]

行も列も固定されていない状態です。

セル[C3]をセル[E3]までコピーすると、セル[E3]は[=D3]となります。

セルの列番号の参照先が2つ右へ移動します。

相対参照のセル[C3]をセル[E5]までドラッグでコピーした時のセル[E3]の数式

セル[C3]をセル[C5]までコピーすると、セル[C5]には[=B5]となります。

セルの行番号の参照先が下へ2つ移動します。

相対参照セル[C3]をセル[C5]までドラッグでコピーした時のセル[C5]の数式

参考[F4]キーで切り替える相対参照、絶対参照、複合参照については、以下の記事でも解説しています。

相対参照と絶対参照と複合参照は[ F4 ]キーで切替

セルの参照方法は、相対参照、絶対参照、複合参照があります。 絶対参照と複合参照では、[$]を挿入する必要があります。 このとき、直接入力して ...

続きを見る

九九表を完成させるための数式をセル[C3]へ入力

以下の表は、セル[B3]からセル[B11]と、セル[C2]からセル[K2]には1から9までの数字を入力しています。

行列の見出し数字を参照先として、セル[C3]へ数式を入力します。

行列に1から9までの見出しを付けた表

セル[C3]には、[=B3*C2]とします。

まず、数式バーに半角英数で[=]を入力した後、セル[B3]セルを選択します。数式バーには[=B3]と表示されます。

アスタリスク(*)を入力して、セル[C2]をクリックします。

アスタリスクは、以下のキーです。[Shift]キーと一緒に押します。

キーボード[Shift]+[*]

数式内のアスタリスク(*)の左[B3]の動き

掛け算の[B3]の動きを考えます。

前半の[B3]は、上下方向のみ動いてくれるといいですね。

なので、[B3]を列固定の複合参照にするため[B3]内にカーソルを移動して、[F4]キーを3回押します。

上下方向のみ動いてもらうには、列を固定した参照形式[$B3]が最適となります。

セル[C3]の数式-$B3に列固定の複合参照

数式内のアスタリスク(*)の右[C2]の動き

掛け算の[C2]の動きを考えます。

後半の[C2]は、左右方向のみ動いてくれるといいですね。

なので、[C2]を行固定の複合参照にするため[C2]内にカーソルを移動して[F4]キーを2回押します。

左右方向に動いてもらうには、行を固定した参照形式[C$2]が最適となります。

セル[C2]の数式[=$B3*C$2]

よって、セル[C3]の数式は以下のようになります。

=$B3*C$2

セル[C3]の数式をコピー

この数式をセル[K11]までコピーします。

セル[C3]を選択して、セル[K3]までフィルハンドルをドラッグして数式をコピーします。

セル[C3]をセル[K3]までドラッグ

以下のようになります。

そのまま、フィルハンドルをセル[K11]まで下へドラッグします。

フィルハンドルを[K11]までドラッグ

フィルハンドルをダブルクリックしてもOKです。

フィルハンドルをダブルクリックしてコピー

以下のように九九表が完成します。

九九表の各セルには、正しい答えが表示されていると思います。

完成した九九表

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数式の確認

コピーされた数式を確認してみます。

[数式]タブの[ワークシート分析]グループにある[数式の表示]をクリックします。

[数式]タブの[ワークシート分析]グループにある[数式の表示]

ショートカットキーは、[Ctrl]+[Shift]+[`](アクサングラーブ)です。数式の表示と非表示の切り替えができます。[`]は、[@]のキーと同じです。

なので、[Ctrl]+[Shift]+[@]と覚えたほうがいいかもしれません。

キーボード

数式が入力されたセルの数式が表示されます。

各セルに入力されたセルを確認してみてください。

セル[K11]には、[=$B11*K$2]となっています。

数式が表示されたセル

数式の表示を数式の結果に戻すには、再度、[数式の表示]をクリックします。

参考数式の表示については、以下の記事で解説しています。

計算結果ではなくセルに数式を表示する(印刷も可能)

数式をワークシートのセルに表示したいということはありますね。 数式のエラーを見つけたい、どこに数式が入っているのか分からない、などという時に ...

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また、数式ではなく数式の結果のみを値として貼り付けることもできます。

数式の結果のみ貼り付けるには[値]の貼り付け

Excelで下のような表があって、C列にはA列とB列の合計値を求める関数が入力されています。 数式で求めた結果の値をそのまま保存したいという ...

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配列数式で九九表を作成

実は、もっと簡単に作成する方法があります。

まず、数式を入力する範囲を選択します。ここでは、セル[C3]からセル[K11]までを範囲選択します。

数式を入力するセルを範囲選択

セル[C3]の数式バーに[=]を入力して、セル[B3] からセル[B11]までをドラッグします。

数式バーに直接入力してもかまいません。

数式バーは[=B3:B11]となります。

セル[C3]の数式バー[=B3:B11]

アスタリスクを入力した後、セル[C2]からセル[K2]までをドラッグします。

セル[C3]の数式バー

この後、キーボードから[Ctrl]+[Shift]+[Enter]を押します。

キーボード[Ctrl]+[Shift]+[Enter]

一気に九九表が完成します。

セル[C3]の数式は、中括弧{ }で囲まれた形になります。

{=B3:B11*C2:K2}

配列数式による九九表の完成

参考数式を削除する場合は、すべての範囲を選択して[Delete]キーを押します。1つのセルを削除することはできません。

1つのセルを削除しようとすると、[配列の一部を変更することはできません。]というメッセージが表示されます。

[配列の一部を変更することはできません。]のメッセージウィンドウ

Excel2021と365ではスピル機能で簡単作成

Excel2021とMicrosoft365のExcelでは、セル[C3]に以下の数式を入力して[Enter]キーを押すだけでOKです。

範囲は、ドラッグで指定してかまいません。

=B3:B11*C2:K2

Excel2021のセル[C3]の数式

スピル機能によって、範囲を指定するだけで自動的に配列数式が入力されます。

セル[C3]の数式を削除すると、すべての数式が消えます。

完成した九九表(Excel2021)

スピル機能を利用した数式を配列定数を使って入力

スピル機能を利用して数式バーに以下のように入力して求めることもできます。

以下の数式を1から9まで入力すると、掛け算の九九表を作ることができます。

[;](セミコロン)で区切った配列が縦、[,](カンマ)で区切った配列が横になります。

={1;2;3;4;5}*{1,2,3,4}

スピル機能を利用した数式を配列定数を使って入力

配列数式とスピルについては、Microsoftの記事を参照してください。

配列数式のガイドラインと例 - Microsoft サポート(Microsoft)

動的配列数式とスピル配列の動作 - Microsoft サポート(Microsoft)

参考配列数式は、以下の記事でも使っています。

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