Office 2019 Access 2019

フォームを参照用と編集用にボタンで切り替え(埋め込みマクロで設定)

投稿日:2020年9月22日 更新日:

Accessで1つのフォームを作成して、すべての内容を見せてレコードの編集ができるようにしています。

でも、そのフォームを開く時に制限を付けたいということあります。たとえば、管理者以外には、一部の情報に絞って読み取り専用で見せたいし、出力ボタンなどは非表示にしたいという場合です。

作成済みのフォームをコピーして、参照用のフォームを別途作成し、ボタンでそれぞれのフォームを開くようにしてもいいのですが、同じフォームでも開く時にマクロで制御することができます。

オブジェクトを増やしたくない、データベースのサイズを気にするような場合はお勧めです。

メニューフォーム

参考ここでは、ウィンドウは重ねて表示する設定にしています。

[タブ付きドキュメント]と[ウィンドウを重ねて表示する]の違い

Access2007以降、オブジェクトを表示すると、タブ付きウィンドウで表示されるようになっています。 昔からAccessを使用している方に ...

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テーブルの確認

ここでは、以下のような顧客情報の一覧を作成しています。

データシートビューです。

テーブルのデータシートビュー

デザインビューは、以下のようになっています。

テーブルのデザインビュー

クエリの作成

[コース]フィールドの中で[一般]コースのレコードのみを表示するクエリを作成します。

デザイングリッドにテーブル[T_顧客]のすべてのフィールドを表示して、[コース]の[抽出条件]に["一般"]と入力します。

クエリのデザインビュー

データシートビューで確認すると、以下のように[一般]コースのレコードのみが表示されます。

クエリのデータシートビュー

作成したクエリは、[Q_一般]という名前で保存します。

フォームの作成

テーブル[T_顧客]を基に分割フォームを作成して、[F_顧客一覧]という名前を付けて保存します。

分割フォームの作成

フォーム[F_顧客]のフォームビューは、以下のようになっています。

分割フォームの完成

参考分割フォームの作成については、以下の記事で解説しています。

分割フォーム(単票フォームとデータシートを同時に表示)の作成と使い方

Accessでは、画面を2つに分け[単票フォーム]と[データシート]を同時に表示できる[分割フォーム]というのがあります。Access200 ...

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Excelへ出力するためのボタンを設置

Excelへ出力するボタンを設置します。

フォーム[F_顧客一覧]をデザインビューで表示します。

[デザイン]タブの[コントロール]グループにある[ボタン]をクリックして、フォームヘッダーでドラッグしてボタンを挿入します。

コマンドボタンウィザード]が表示されたら、[キャンセル]ボタンをクリックして閉じます。

コマンドボタンの挿入

コマンドボタンのプロパティを開いて、名前や標題を修正します。コマンドボタンの名前は、[その他]タブで修正します。

ここでは[出力ボタン]としています。

コマンドボタンの標題

[イベント]タブの[クリック時]の[ビルダー選択]ボタン[...]をクリックします。

[ビルダーの選択]ダイアログボックスが表示されますので、[マクロビルダー]を選択して[OK]ボタンをクリックします。

マクロビルダーの起動

[マクロツール]が表示されます。アクション選択の▼ボタンをクリックして、[書式設定を保存したままエクスポート]を選択します。最後から5番目にあります。

[書式設定を保存したままエクスポート]を選択

そして、以下のように設定します。

[書式設定を保存したままエクスポート]の設定

[閉じる]ボタンをクリックして閉じます。

マクロツールを閉じる

メッセージウィンドウが表示されたら、[はい]をクリックします。

メッセージウィンドウ

プロパティには、[埋め込みマクロ]と表示されます。

コマンドボタンのプロパティ[クリック時]

参考Excelへ出力するボタンの作成する方法は、他にもあります。以下の記事で解説しています。

Excelへ出力(エクスポート)するコマンドボタンの作成

Access2010でテーブルやクエリをExcelへ出力するマクロを作成して、それをコマンドボタンに登録する方法です。 独立マクロを作成して ...

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パスワードを入力するフォームを作成

編集可能なフォームは、パスワードを知っている人しか開けないようにしたいと思います。

テキストボックスに[定型入力ウィザード」でパスワードを設定

空白のフォームを作成して、テキストボックスを1つ挿入します。

そして、定型入力ウィザードを使って[パスワード]を設定します。

テキストボックスのプロパティを表示して、[データ]タブの[定型入力]にある[...]ボタンをクリックします。

テキストボックスのプロパティ[定型入力]

[定型入力ウィザード]が表示されますので、[パスワード]を選択します。

定型入力ウィザード

プロパティには、[パスワード]と表示されます。

テキストボックスのプロパティ

参考定型入力ウィザードについては、以下の記事で解説しています。

定型入力ウィザードを使用して簡単に入力パターンを設定

Accessでは、[定型入力]を使用して入力パターンを設定できます。 フィールドのデータ型が[数値型][通貨型][短いテキスト][日付/時刻 ...

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[OK] ボタンと[キャンセル]ボタンを設置

[OK] ボタンと[キャンセル]ボタンを設置します。

[OK]ボタンと[キャンセル]ボタン

そして、それぞれのボタンは埋め込みマクロで以下のように設定します。

[OK]ボタンの埋め込めマクロです。

テキストボックス[パスワード]へ入力した値が[1234]であれば、フォーム[F_顧客一覧]を開いて、違うなら[パスワードが違います]というメッセージウィンドウを表示しますという内容になります。

[OK]ボタンの埋め込みマクロ

[キャンセル]ボタンの埋め込みマクロです。

[オブジェクトの種類]の指定を省略した場合は、アクティブウィンドウが閉じられます。

[キャンセル]ボタンの埋め込みマクロ

パスワードを入力したら、フォームが開くかどうかの動作を確認します。また、パスワードを間違えた場合の動作も確認しておきます。

フォームに名前を付けて保存します。ここでは[F_パスワード]とします。

パスワード入力フォームで動作確認

参考パスワード入力フォームについては、以下の記事で解説しています。詳細は、以下の記事を参照してください。

パスワード入力フォームを作成してパスワードが合えば開くようにする

Accessでパスワード入力フォームを作成して、パスワードを入力してパスワードが合えばフォームを開くようにする方法です。 注意ここでは、Ac ...

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メニューフォームの作成

参照用のフォームを開くためのボタンと管理者用のボタンを作成します。

管理者用のボタンをクリックすると、フォーム[F_パスワード]が開くように設定します。

ここでは、[顧客一覧を参照]と、[管理者用]という標題を付けています。

メニューフォームの作成

管理者用ボタンをクリックすると、フォーム[F_パスワード]が開くように設定します。

[管理者用]ボタンの埋め込みマクロです。

[管理者用]ボタンの埋め込みマクロ

埋め込みマクロでフォームに制限をかける

[顧客一覧を参照]ボタンをクリックしたら、フォーム[F_顧客一覧]を開くようにするのですが、制限をかけたフォームにします。

マクロで以下の4つの内容で制限をかけます。

  • フォームのデータモードは編集ができないように[読み取り専用]にします。
  • フォームのレコードソースを[Q_一般]にします。
  • [Excelへ出力]ボタンを非表示にします。
  • フォームヘッダーのタイトルを変更します。

[顧客一覧を参照]ボタンのプロパティを表示して、マクロツールを表示します。

[顧客一覧を参照]ボタンのプロパティ

[F_顧客一覧]を[読み取り専用]で開く

まず、[フォームを開く]アクションを選択します。

[フォーム名]は、[F_顧客一覧]を選択します。

[データモード]は、▼ボタンをクリックして[読み取り専用]を選択します。

マクロアクション[フォームを開く]

フォームのレコードソースを変更

[デザイン]タブの[表示/非表示]グループにある[すべてのアクションを表示]をクリックします。

[デザイン]タブの[表示/非表示]グループにある[すべてのアクションを表示]

[新しいアクションの追加]の▼ボタンをクリックして、[値の代入]をクリックします。最後から4番目にあります。

マクロアクションから[値の代入]を選択

[値の代入]のポップヒントには、以下のように記されています。

値の代入

フォーム、フォームのデータシート、またはレポートにある、コントロール、フィールド、またはプロパティに値を設定します。

マクロアクション[値の代入]

アイテムのテキストボックスには、以下のように入力します。

[Forms]![F_顧客一覧].[RecordSource]

[値の代入]でフォームのレコードソースを変更

[式]にはクエリの名前を入力します。クエリ名は、ダブルクォーテーションで括ります。

"Q_一般"

参考これは、フォーム[F_顧客一覧]のプロパティで[レコードソース]をクエリ[Q_一般]に変更するということです。

フォーム[F_顧客一覧]のプロパティ

[F_顧客一覧]の[出力ボタン]を非表示に変更

フォーム[F_顧客一覧]のフォームヘッダーに設置している[出力ボタン]を非表示にします。

同じようなマクロアクションを追加する場合は、コピー&ペーストすると効率的です。

マクロツールで既存のアクションをコピーして活用(再利用)するには

Accessでは多くのマクロアクションが使用できます。 しかし、毎回アクションを選択して入力するのは面倒ですね。 マクロアクションは、コピー ...

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[アイテム]のテキストボックスに以下のように入力します。

[Forms]![F_顧客一覧]![出力ボタン].[Visible]

[式]には、以下のように入力します。

false

マクロアクション[値の代入]

参考入力していると、入力候補一覧(補助メニュー)が表示されますので、一覧から選択していくとミスを軽減できると思います。

入力補助ツール

この値の代入の設定は、[出力ボタン]のプロパティの[可視]で[いいえ]を設定したものと同じになります。

[出力ボタン]のプロパティ

フォームヘッダーのタイトルを変更

フォーム[F_顧客一覧]のフォームヘッダーのタイトルを変更します。

[アクションの追加]で今度は、以下のように設定します。

[値の代入]を選択して、[アイテム]には、以下のように入力します。

[Forms]![F_顧客一覧]![Auto_Header0].[Caption]

[式]には、変更したい文字列入力します。ここでは、以下のように入力します。ダブルクォーテーションで括ります。

"顧客一覧・一般コースの参照"

マクロアクション[値の代入]

参考この設定は、フォーム[F_顧客一覧]のフォームヘッダーの[標題]を変更するということです。

タイトルのラベルの大きさは、少し広めにしておく必要があります。

フォームヘッダーのタイトルのプロパティ

上記の設定が終わったら、マクロツールを閉じて、フォームも上書き保存します。

ボタンのプロパティ[イベント]タブの[クリック時]には、[埋め込みマクロ]と表示されています。

[顧客一覧を参照]ボタンのプロパティ

注意埋め込みマクロで設定した後、メニューフォームのボタンをクリックして[F_顧客一覧]を表示して、[F_顧客一覧]フォームの編集はしないように気を付けてください。

マクロでプロパティの値を書き換えているので、上書き保存すると、プロパティの値まで上書きされてしまいます。

[F_顧客一覧]フォームを編集するときは、単独で開いてから行うようにしたほうが無難です。

メニューフォームのボタンをクリックした時の動作を確認

フォーム[F_メニュー]をフォームビューで開いて、動作を確認します。

[顧客一覧を参照]ボタンをクリックすると、以下のようにフォーム[顧客一覧]が表示されますが、読み取り専用となっていて編集はできません。

コースは[一般]のみが表示されています。

メニューフォームの[顧客一覧を参照]ボタンをクリックした時のフォーム

[管理者用]ボタンをクリックすると、[パスワード入力]フォームが表示されます。

[管理者用]ボタンをクリックして[パスワード入力フォーム]を表示

そして、正しいパスワードを入力して、[OK]ボタンをクリックすると、編集可能なフォームが表示されます。[VIP]コースのレコードも表示されます。そして、[Excel]へ出力するためのボタンも表示されます。

[パスワード入力フォーム]の[OK]ボタンをクリックした時のフォーム

参考レコードの抽出は、マクロの[フォームを開く]アクションの[Where条件式]に以下のように設定することもできますが、

マクロの[Where条件式]

この場合は、フィルターが適用された状態で表示されますので、フィルターボタンなどを使用して、[一般]以外のレコードも表示できてしまいます。

抽出適用外のレコードが見えてもよい場合、見えては困る場合など、状況に合わせて設定してください。

[Where条件式]で抽出しても構わない場合は、クエリを作成する必要はありません。

フォームビューのフィルター

[Where条件式]での設定は、以下の記事で解説しています。

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