Excelでは、関数を使って行や列から値を取り出す方法がよく知られていますが、実は関数を使わなくても、セル範囲に名前を付けるだけで、行と列の交差する値を求めることができます。
セル範囲に名前を付けるのも簡単ですし、関数が苦手な人でも求められる方法です。
この記事では、関数なしでできる[名前付きセル範囲を使って交差する値を求める]方法を具体的な例と一緒にわかりやすく解説します。
参考INDEX関数とMATCH関数(XMATCH関数)を使って行と列の交差する値を求める方法は、以下の記事で解説しています。
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行と列が交差するセルの値を求める(INDEX関数とMATCH・XMATCH関数)
Excelで以下のようなマトリックス表があって、このマトリックス表の行と列が交差する値を、関数を使って自動的に求める方法です。 早見表などで ...
セル範囲に名前を付ける
以下のようなマトリック表のサンプルがあります。
この表は、各店舗で販売されている野菜の価格(円)をまとめたものです。
行には[野菜の名前]、列には[店舗名]があり、行と列の交差するセルには価格が入力されています。
各行に名前を付ける
各行に名前を付ける最も簡単な方法です。
セル[A2]からセル[F6]までを範囲選択します。必ず、A列の見出しを含んで範囲選択します。
そして、[数式]タブの[定義された名前]グループにある[選択範囲から作成]をクリックします。
選択範囲から作成
選択したセルから名前を自動的に生成します。
通常は、最上部の行または左端の列を選択します。
ショートカットキーは、[Ctrl]+[Shift]+[F3]です。
[選択範囲から名前を作成]ダイアログボックスが表示され、[左端列]のチェックボックスがオンになっています。
このまま[OK]ボタンをクリックします。
各列に名前を付ける
各列にも名前を付けます。
今度は、1行目の店舗名を含んで範囲選択します。
セル[B1]からセル[F6]までを範囲選択して、[選択範囲から作成]をクリックします。
[選択範囲から名前を作成]ダイアログボックスが表示され、[上端行]のチェックボックスがオンになっていることを確認して[OK]ボタンをクリックします。
参考セル範囲に名前を付ける方法は、他にもあります。以下の記事で詳しく解説しています。
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セル範囲に名前を付ける3つの方法(名前の定義)と名前の管理
Excelでは、セル範囲に名前を付けることで、さまざまな用途で活用することができます。 たとえば、数式でセル参照の代わりに名前を使用すると、 ...
[名前の管理]でセル範囲の名前を確認
表の各行と各列のセル範囲に名前が付けられていることを確認します。
[数式]タブの[定義された名前]グループにある[名前の管理]をクリックします。
名前の管理
ブックで使用する名前の作成や、ブック内のすべての名前の編集、削除、検索を行います。
名前は、数式でセル参照の代わりに使用できます。
たとえば、「=SUM(C20:C30)」の代わりに「=SUM(MySales)」と入力します。
ショートカットキーは、[Ctrl]+[F3]です。
[名前の管理]ダイアログボックスが表示されます。
各行と各列のセル範囲に名前が付けられていることを確認したら、[閉じる]ボタンをクリックして閉じます。
参考[名前の管理]ダイアログボックスを開くと、設定した覚えのない名前があるかもしれません。
テーブルを作成すると、自動的に範囲に名前が付けられます。
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[名前の管理]ダイアログボックスに削除できない名前がある
[数式]タブの[名前の管理]をクリックして[名前の管理]ダイアログボックスを表示すると、[削除]ボタンが無効になっているものがあります。 こ ...
セル範囲に名前を付けると、数式などで便利に活用できます。
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セル範囲に名前を定義して数式で使用する
Excelでは、セル範囲に名前を定義しておくと、関数の引数に名前を利用することができます。 定義された名前は、[数式]タブの[数式で使用]ボ ...
行と列が交差する値を求める
定義された名前を使って、行と列が交差する値を求めます。
ここでは、[トマト]の[C店]の値をセル[C8]に表示します。
セル[C8]を選択して、半角で[=]を入力します。
セル[C8]の[=]の後ろに[トマト]と入力します。
[トマト]の値のセル範囲が選択されます。名前定義した範囲ですね。
半角スペースを空けて、[C店]と入力します。半角スペースを入れることを忘れないようにしてください。
[C店]と名前定義した範囲が選択されます。
キーボードから[Enter]キーを押します。
結果、セル[C8]には、[トマト]の[C店]の価格が表示されます。
セル[C8]を選択すると、数式バーには[=トマト C店]と表示されています
参考式は、行列を入れ替えた形式で[=C店 トマト]と入力しても同じ結果になります。
他の値を求める場合
他の行列が交差する値を求める場合は、入力済みの式を変更すればOKです。
参考セル参照は使用できませんので、関数のように自動的に結果を求めることはできません。
ただ、関数を使わずに結果を表示できるのは便利だと思います。
結果を効率よく求めるには
少しでも簡単に求めるようにするには、セル[A8]に行と列の名前を半角スペースを含んで入力しておき、その文字列をコピーして、セル[C8]へ貼り付ける方法があります。
セルをコピーして貼り付けした後に[=]を入力
セル[A8]に半角スペースを含んだ文字列を入力しておきます。
ここでは、[キャベツ B店]と入力しています。
セル[A8]を選択して、[ホーム]タブの[クリップボード]グループから[コピー]をクリックします。
ショートカットキー[Ctrl]+[C]や、ショートカットメニューから操作してもかまいません。
セル[C8]に貼り付けします。ショートカットキー[Ctrl]+[V]やショートカットメニューから操作してもかまいません。
セル[C8]を編集モードにするため、キーボードから[F2]キーを押すか、ダブルクリックします。
セルの先頭に半角で[=]を入力します。
以下のようになりますので、キーボードから[Enter]キーを押します。
[キャベツ]の行と[B店]の列が交差するセルの値が表示されます。左寄せで表示されます。
クリップボードを活用して貼り付け
クリップボードを利用して入力することもできます。
[ホーム]タブの[クリップボード]グループにある[クリップボード]をクリックして、[クリップボード]作業ウィンドウを表示しておきます。
セル[A8]をコピーします。クリップボードにアイテムが格納されます。
セル[C8]を選択して半角で[=]を入力した後、クリップボードのアイテムをクリックして貼り付けします。
以下のようになりますのて、キーボードから[Enter]キーを押します。
[キャベツ]の行と[B店]の列が交差するセルの値が表示されます。
セルに[=]を入力した後、クリップボードから貼り付けて次々に求めることができます。
参考Officeクリップボードの使い方については、以下の記事で解説しています。
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