Excelの表に罫線を引いて、オートフィルを実行すると、罫線までコピーされてしまい、その後、余計な操作をしなければならないということがあります。
オートフィルオプションで[書式なしコピー]を選択しても、今度は表示形式まで崩れることがあります。
Excelの罫線は、セルのどの位置に設定したかによって、オートフィルを実行した時の結果が異なってきます。
罫線は、マウスを使用して引くこともでき、マウスを使った場合とそうでない場合でも異なることがあります。
罫線の特徴を知って操作すると、後の編集が楽になります。また、表を効率よく完成させるには罫線を設定する際の順序も大切です。
参考Excel2021で解説していますが、Excelのバージョンには関係ありません。どのバージョンでも同じです。
オートフィルを実行したら罫線までコピーされる
誰もが一度は経験したことがあると思います。
例えば、以下のような表があります。
セル[B3]に日付を入力します。
ショートカットキー[Ctrl]+[;](セミコロン)を使って入力します。
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キーボードから[今日の日付]と[現在の時刻]を簡単入力
Excelで現在の日付と時刻をキーボードから簡単に入力してみましょう。 まず、日付や時刻を入力したいセルをクリックしてアクティブにします。 ...
そして、連続データを入力したいので、フィルハンドルを下へドラッグします。しかし、連続データは入力できたのですが、罫線までコピーされてしまいました。
この時、[オートフィルオプション]から[書式なしコピー]を選択すれば解決!と思って実行したら、
今度は、罫線は元に戻ったけど、日付の表示形式が解除されてしまいました。「あー、面倒くさい」ということになります。
こういうことはよくあります。
また、「別の表で同じように操作したときは、罫線はコピーされなかったのに、ここでは罫線がコピーされてしまうのは、なぜなんだろう。」と思う方もいると思います。
同じように見える罫線でも、オートフィルを実行したときにコピーされる罫線とコピーされない罫線があります。
4つの罫線で比較
罫線はセルのどの位置に引いたかによって結果が異なります。
罫線を引くには、[ホーム]タブの[フォント]グループにある[罫線]をクリックして罫線の一覧から選択して実行する方法と、[セルの書式設定]ダイアログボックスの[罫線]タブから実行する方法、そして、マウスを使って引く方法があります。
格子が設定された表に4つの方法で太い罫線を一本引いて、その後、日付と入力された下のセルを選択してオートフィルを実行してみます。
見た目だけでは、判断できませんね。
上罫線
セル[B3]を選択して太い上罫線を引いた状態です。
上罫線は、[セルの書式設定]ダイアログボックスを表示しなくても一覧から設定できますが、ここでは、分かりやすくするために[セルの書式設定]ダイアログボックスを表示しています。
以下のようになります。
セル[B3]を選択して、オートフィルを実行します。太い罫線がコピーされます。
[上罫線]は、選択したセルに属します。ですから、ここでは、セル[B3]に属しているので、セル[B3]をコピーすると、罫線もコピーされます。
内罫線
セル[D2]とセル[D3]を選択して、太い内罫線を引いた状態です。
内罫線は[セルの書式設定]ダイアログボックスの[罫線]タブを表示して設定します。
以下のようになります。
セル[D3]を選択して、オートフィルを実行します。太い罫線がコピーされます。
[内罫線]は、どちらのセルにも属します。ここでは、セル[D2]とセル[D3]に属しています。ですから、セル[D3]をコピーすると、罫線もコピーされます。
罫線を削除する場合は、どちらのセルを選択しても削除できます。
下罫線
セル[F2]を選択して、太い下罫線を引いた状態です。
下罫線は、[セルの書式設定]ダイアログボックスを表示しなくても一覧から設定できますが、ここでは、分かりやすくするために[セルの書式設定]ダイアログボックスを表示しています。
以下のようになります。
セル[F3]を選択して、オートフィルを実行します。太い罫線はコピーされません。
[下罫線]は選択したセルに属します。ですから、ここでは、セル[F2]に属しているので、セル[F3]をコピーしても、罫線はコピーされません。
マウスで引く
[罫線の作成]を選択して、マウスで太い罫線を引きます。
以下のようになります。
セル[H3]を選択して、オートフィルを実行します。太い罫線はコピーされません。
マウスで罫線を設定するのは、案外便利です。
内罫線や、斜線は、罫線一覧にないので、[セルの書式設定]ダイアログボックスの[罫線]タブを表示しなければなりませんが、マウスであればダイアログボックスを表示する必要はありません。
また、[Shift]キーを押すと、鉛筆は消しゴムに変わり、削除することもできます。複雑な罫線を描く場合は、便利です。
罫線をマウスで描く方法については、以下の記事で解説しています。
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表に罫線を効率よく作成するには(マウスを使って操作するのも便利)
Excelで罫線を設定する方法は、[罫線]コマンドを使用したり、[セルの書式設定]ダイアログボックスで設定できますが、もう1つ、マウスで罫線 ...
罫線を設定する時のポイント
表はできるだけ効率よく作成したいですね。
いくつかのポイントがあります。
まず、罫線を引くのは表作成後がおすすめです。早く罫線を引きたいかもしれませんが、できるだけ最後に設定するようにしましょう。
表作成前に印刷して提出しなければならないような場合は、印刷時のみ枠線を印刷できる機能があるので、それを使用すると便利です。
外側が太く、内側が細い線になります。文字列が入力されていなくても、空白スペースを入力すると枠線を印刷できます。
罫線は、内側から外側へ設定します。
罫線の[格子]を使用することは多いと思います。
格子を設定した後に、外側や見出し行などに太い罫線などを設定します。
見出しの行や集計行に罫線を設定する場合は、必ず見出し行側のセル、集計行側のセルを選択して設定します。
そうすると、日付を入力してオートフィルをかけても罫線が崩れることはありません。
セル[B7]に日付を入力して、下から上へオートフィルをかけても罫線がコピーされることはありません。
参考オートフィルが使用できない、フィルハンドルが表示されないという場合は、以下の記事を参考にチェックしてみてください。
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オートフィル機能が使用できない時は[Excelのオプション]で確認
フィルハンドルってご存知ですか?Excelのワークシートでアクティブセルの右下に現れる小さい四角の形のものです。 これって便利ですよね? こ ...
セルを移動したときの罫線の挙動について
オートフィル実行時の違いもありますが、セルを移動した場合も違いがあります。
上罫線、内罫線、下罫線、マウスで引いた場合について、比較してみます。
日付を入力したセルをドラッグで移動します。
- 上罫線…罫線は、セル[B3]に属しているので罫線も一緒に移動します。
- 内罫線…罫線は2本に分かれます。内罫線は、セル[D2]とセル[D3]の両方に属しているのでこうなります。
- 下罫線…罫線はセル[F2]に属しているので、罫線は残ります。
- マウス…下罫線と同じ挙動になります。
参考Excelで罫線のみを貼り付けたいと思っても、[貼り付けオプション]のコマンドにも[形式を選択して貼り付け]にも[罫線のみ貼り付け]というコマンドはありません。しかし、少し工夫すると、罫線のみを貼り付けることができます。
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別表に罫線のみを貼り付けた表を作成するには
別表に罫線のみを貼り付けたいと思っても、[貼り付けオプション]にも[形式を選択して貼り付け]ダイアログボックスの中にも[罫線のみ貼り付け]と ...