Excelでは、[入力規則]を使って入力時の日本語入力をオンにしたり、オフにしたりすることができます。
この設定を行っておくと、入力時にIMEの入力モードの切り替えをせずに済むにので効率的です。
また、複数の人にデータを入力してもらう場合は、入力ミスの軽減にもつながります。
昔からある機能ですが、意外に知られていないようなので、ここで紹介します。ぜひ活用してください。
例えば、下のような表があります。
A列のセルには、日本語入力をオンに、B列のセルは、半角カタカナ、C列は日本語入力をオフに、D列は日本語入力をオンにしたおいたほうが入力は便利ですね。
以下のように設定していきます。
- A列:ひらがな
- B列:半角カタカナ
- C列:オフ(英語モード)
- D列:ひらがな
これをExcelの入力規則で設定することができます。
一度設定しておくと、セルを移動すると自動的に入力モードが切り替わってくれるので便利です。
この記事の目次
入力規則の設定
入力規則での入力モードの設定方法です。
以下のような作成された表があります。まず、設定したいセルを範囲選択します。
追加の行が増える場合は、予定の範囲まで選択してください。入力済みのデータの範囲も設定しておくと編集する場合に便利です。
ここでは、セル[A2]からセル[A10]までを選択します。
[データ]タブの[データツール]グループにある[データの入力規則]をクリックします。
データの入力規則
セルに入力できるデータの種類を制限するルールを一覧の中から選びます。
例えば、1、2、3、などの値のリストを表示したり、1000よりも大きい数値のみを有効値として許可したりできます。
下のように[データの入力規則]ダイアログボックスが表示されます。
[日本語入力]タブをクリックします。
既定では、日本語入力は、[コントロールなし]が選択されています。
[データの入力規則]ダイアログボックスの日本語入力の▼ボタンをクリックして、プルダウンメニューから[ひらがな]を選択します。
[OK]ボタンをクリックして閉じます。
IMEの入力モードが切り替わるかを確認
セルを移動して、入力モードが切り替わるかどうか確認してみてください。
Excelの起動時は、日本語入力モードはオフになっています。
範囲選択して設定したセルをクリックすると、自動的に入力モードが[ひらがな]になることを確認します。
上記画像は、IMEの切り替え状態がわかるように、IME言語バーがデスクトップに表示されるように設定しています。
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同じように他の列のセルも範囲指定して設定していきます。
B列の[フリガナ]のセルは、[半角カタカナ]に設定します。
C列の[社員№]のセルは、[オフ(英語モード)]に設定します。
D列の[備考]のセルは、[ひらがな]に設定します。
これで、セルを移動すると自動的にIMEの入力モードが切り替わります。
参考データの入力規則は、設定したセルをコピーして[形式を選択して貼り付け]から[入力規則]を選択して貼り付けることができます。
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日本語入力モードの選択肢
[データの入力規則]ダイアログボックスの[日本語入力]タブで選択可能な入力モードは、以下のとおりです。
- コントロールなし
- オン
- オフ(英語モード)
- 無効
- ひらがな
- 全角カタカナ
- 半角カタカナ
- 全角英数字
- 半角英数字
分かりにくものだけ、解説しておきます。
- コントロールなし IMEの制御がありません。セルを選択する前のIMEの状態を引き継ぎます。既定です。
- 無効 IMEがオフになって、変換ができなくなります。手動での入力モードの変換もできません。
注意[無効]以外を選択した場合は、手動で入力モードの変換が可能です。
入力モードについては、以下の記事で解説しています。
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Microsoft IMEの入力モードについて(直接入力モードを表示する設定)
Windows10の通知領域に表示されているMicrosoft IMEの入力モード、またはデスクトップに表示している言語バーの入力モードにつ ...
[オン] と [ひらがな]はどっちがよいのか?
[氏名]や[備考]などでは、[オン]にしたほうがいいのか、[ひらがな]にしたほうがいいのか選択に迷われるかもしれませんが、[ひらがな]にしておくほうがよいです。
もし、[オン]に設定しておくと、
直前の入力モードが[半角カタカナ]だった場合は、[半角カタカナ]モードになってしまいます。
[オン]というのは、日本語入力機能をオンにするということですので、直前の入力モードを引き継いでしまいます。
ですから、選択する場合は[ひらがな]を選択しておいたほうがよいと思います。
[無効][オフ(英語モード)][半角英数字] のどれがよいのか?
変換する必要がないのであれば、[オフ(英語モード)]を選択したほうがよいと思います。
[無効]を設定すると、手動での入力モードの変換もできません。一番強力ですね。
ですが、もし、イレギュラーの入力が必要な場合は面倒かもしれません。
[半角英数字]を選択すると、変換ができる状態ですので、[オフ(英語モード)]がいいと思います。
[半角英数字]では、右クリックのショートカットメニューに[再変換]があります。
参考以下の画像は、Microsoft IMEの詳細設定で[直接入力モードを使用しない]のチェックボックスをオフにしている状態です。
この設定については、直接入力モードを表示するにはで解説しています。
[オフ(英語モード)]では、[再変換]は無効になっています。
Excel2003でも入力規則によるIMEの入力モードの切り替えについて解説しています。
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[Enter]キーを押して右のセルへ移動する設定
上記で紹介したような表で、横に長い表の場合は、[Enter]キーを押したときの設定を右に変更すると、より効率的かもしれません。
セルに入力後、右へ移動する場合は[Tab]キーを使うと便利ですが、[Enter]キーで右へ移動するように設定することもできます。
[Excelのオプション]ダイアログボックスの[詳細設定]カテゴリーの[編集設定]にあります。
[オプション]ダイアログボックスを表示するには、Backstageビューの[オプション]をクリックしますが、アクセスキーを使うと便利です。
キーボードから[Alt]→[F]→[T]の順で押すと、表示できます。
[詳細設定]の[Enterキーを押したら、セルを移動する]の方向で[右]を選択します。
既定は[下]になっています。
[Tab]キーと[Enter]キーを使って効率よく入力する方法は、以下の記事で解説しています。
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左がWindows 10 バージョン 2004 で右クリックした新しい日本語IMEです。
右がWindows 10 バージョン1909のIMEで右クリックしたものです。
Windows 11バージョン21H2のタスクバーのIMEで右クリックすると、以下のような表示になっています。新しい日本語IMEの場合です。
新しい日本語IMEを使用していて不具合があれば、従来のIMEに戻すこともできます。
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